1995年に発生しました兵庫県南部地震では同時多発的に斜面に崩壊や亀裂が発生しました。その後、中越地震、中越沖地震、岩手・宮城内陸地震等でも、多数の斜面崩壊が発生していることは、ご承知のとおりであります。
兵庫県、愛知県では、兵庫県南部地震の経験を生かし、林野庁の補助事業「森林土木効率化等技術開発モデル事業」、「限界状態設計法等実証事業」を受け、現地調査、振動台模型実験、数値解析等の研究を重ねることにより、より効率的な自然斜面崩壊予防対策の開発に取り組んでこられ、ロープネットとロックボルトを併用した工法が緑地環境を改変することなく、自然斜面の崩壊防止に有効であることの結論を得られ、実用化に向けて「ロープネット・ロックボルト併用工法設計・施工指針(案)」を作成されました。本研究員会は、当該工法の普及・改良・維持管理に関して、さらなる調査・研究を推進するため設立された研究会であります。
東北地方太平洋沖地震により多くの自然斜面が崩壊しましたが、事前にこれらの崩壊を防止することのみならず、丘陵地や山地に設定されます津波避難路の安全も事前に確保しておく必要性が新たに認識されてきたところであります。東海、東南海、南海地震等の発生が予想される今日、自然斜面崩壊の予防対策の必要性が増大してきております。この対策として当該「ロープネット・ロックボルト併用工法」が貢献できることを期待しております。
会長プロフィール
沖村 孝
(理学博士、神戸大学名誉教授)
- 1995年
- 神戸大学工学部教授
- 1996年
- 神戸大学都市安全研究センター教授
- 2007年
- 神戸大学都市安全研究センターセンター長
- 2008年
- 財団法人建設工学研究所常務理事
- 2013年
- 一般財団法人建設工学研究所常務理事
専門分野
- 自然災害科学
- 地盤工学
- 地形工学
研究テーマ
- 豪雨中に発生する斜面表層崩壊の予知
- 地震時における斜面不安定化メカニズムの解析
- 自然災害危険度評価手法の開発
主要著書
- 豪雨時における斜面崩壊のメカニズムおよび危険度予測(地盤工学会、2006)
- 老朽化吹付け法面の調査・対策の手引き(鹿島出版会、2006)
- 地理情報科学事典(朝倉書店、2004)
- 防災事典(築地書館、2002)
- 地震砂防(古今書院、2000)
その他
- 神戸市復興計画審議会委員(1995)
- 兵庫県阪神・淡路大震災復興推進会議委員(1998〜2000)
- 兵庫県治山工法開発推進アドバイザー会議委員長(1997〜2006)
- 愛知県限界状態設計等実証事業アドバイザー会議委員長(2006〜2007)
- 人と防災未来センター上級研究員(2002〜2008)
- 日本学術会議連携会員(2006〜)